街の中に残された小さな原生林 その3 ~ラベルのない木

リカトンブッシュには
森のすぐ横に
歴史を感じる建物が建っている

ひとつは Riccarton House
そしてもうひとつが
Deans Cottage

どちらも
クライストチャーチの開拓の歴史を伝える
大切な建物だ

Deans 兄弟がこの地にやってきたのは1843年

周囲の森の多くが切り開かれていく中で
この小さな森だけは残された

今こうして
樹齢数百年のカヒカテアを見ることができるのは
当時の人たちが「残そう」と決めたからだ

建物の中に入ると
当時の暮らしぶりや
開拓の様子を知ることができる

森の中を歩いていて
ひとつ気づいたことがある
木に名前のプレートが付いていない

日本の植物園なら
「カヒカテア」
「マタイ」
「トタラ」

といった具合に
一本一本に丁寧な名札が付いている

ところがここでは
ただ森があり
木が立っている

最初は
「名前がわかったらもっと面白いのに」
と思った

でも歩いているうちに
「それでいいのかもしれない」
とも思えてきた

名前を知らなくても
木の高さに驚き
根の広がりに見入り
鳥の声に耳を澄ます

それだけで十分に楽しい

まずは理屈抜きで自然を感じる
知識は興味が湧いたあとで
少しずつ調べればいい

そう考えると
この森には「まず感じてみて」
というメッセージが込められているようにも思えた

説明が少ないからこそ
自分で見て
自分で感じて
自分で問いを持つ

答えを先に与えるのではなく
まず体験する

リカトンブッシュは
静かな森であると同時に
そんな学び方を教えてくれる場所でもあった


There were very few labels on the trees. Without names, I paid more attention to what I felt. Sometimes nature teaches best when it says nothing.

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